消化器内科

消化器科内科では、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸などの消化管と、肝臓・胆嚢・膵臓などの食べ物の消化・吸収に携わる臓器についての診断や治療を担当いたします。 症状としては、腹痛や胃痛、嘔気・嘔吐、下痢・便秘、食思不振、吐血・下血、黄疸など様々なものが該当します。
内視鏡検査、CT、MRI、腹部超音波検査など各種画像検査が可能で、一般的な胃腸炎から、十分な治療が必要な消化器癌、専門性の高い炎症性腸疾患など幅広い診療を行っています。
また、消化器外科とは日ごろから連携をとっていて、手術が必要と判断されればスムーズに治療をつなげていくことができます。

代表的な疾患

慢性胃炎(ヘリコバクターピロリ感染胃炎)

慢性胃炎は胃の粘膜に継続して炎症が起こる状態です。
主にピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)の感染が原因で、炎症が長期化すると胃粘膜に「萎縮」(痩せて枯れてしまう)や「腸上皮化生」(胃ではなく大腸に似た性質の粘膜に変化してしまう)といった変化が生じ、胃がんや胃十二指腸潰瘍のリスクを高めることとなります。
無症状な場合が多いですが、潰瘍を生じると心窩部痛や嘔気、胃もたれなどの症状がでる場合があります。
ピロリ菌の除菌後を行うことで、胃がんのリスクを軽減することができます。
また、定期的に内視鏡検査を行うことで胃がんが発生したとしても、早期の段階で見つけられる可能性が増します。

大腸ポリープ

ポリープとは、イボのような突起物を意味する言葉で、一つの病気を指す言葉ではありません。
このため、その突起物が何でできているのか、どういう性質のものかを確認しておく必要があります。
ポリープは大きく分けて、「腫瘍」と「それ以外のポリープ」に分けられます。
「それ以外のポリープ」は正常細胞が集まってイボ状になったもので、癌とは無関係です。
放置しても大腸癌になることはほとんどありません。問題は、腫瘍に分類されるタイプのポリープです。

これには「良性の腫瘍」と「悪性の腫瘍」があります。良性の腫瘍は「腺腫(せんしゅ)」と呼ばれており、大腸ポリープの大部分は腺腫で、特にS状結腸や直腸によくできます。そのため、一般に大腸ポリープという場合は、この腺腫を指す場合が多いです。大腸癌の経路として、『大腸癌は腺腫を介して発癌する』という経路があると言われており、ある程度の大きさがあると安全を期して切除することをお勧めしております。

ポリープがどのタイプなのかは、内視鏡検査によってほぼ診断をつけることができます。
大腸内視鏡検査を受け、早期発見を心がけることで、大腸癌発症を予防しましょう。

特色と専門

炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)

<潰瘍性大腸炎>

通常は細菌などの外敵から体を守るための免疫機能に異常が起こり、大腸粘膜に慢性的な炎症が生じる病気です。
原因はまだ明らかになっていませんが、遺伝的素因・食物や化学物質、ストレスなどの環境因子、腸内細菌等複数の要素により何らかの免疫異常が生じて発症することがわかっています。

腹痛・下痢・血便・発熱等の症状が良くなったり(寛解)、悪くなったり(再燃)を繰り返すことが特徴で、炎症が直腸から口側に広がる性質があり、重症化すると深い潰瘍から穿孔を起こしたり、長期間炎症が続くことで大腸がんを合併したりする場合もあります。

現在のところ完全に治癒させる治療方法はなく、異常となった免疫を抑えて症状を落ち着かせる治療をしながら病気と長く付き合っていく必要があり定期的な検査と適切な治療で寛解の状態をできるだけ保つことが重要です。
近年、治療薬の開発が進み、治療選択肢が多くなりましたが、最善の薬の使い方は確立されておらず、現在でも専門性の高い疾患です。

<クローン病>

潰瘍性大腸炎と同様に、何らかの免疫異常が生じて発症する病気の一つであり原因はまだ明らかではありません。
慢性的な炎症が、主に小腸や大腸に起こり、腹痛・下痢・血便・発熱・肛門付近の痛みや腫れ・体重減少等の症状が良くなったり(寛解)、悪くなったり(再燃)しながら長い年月続きます。
頻度は多くありませんが小腸や大腸以外にも消化管粘膜すべてに発症する可能性があります。

炎症が増悪すると深い潰瘍や瘻孔(腸管と腸管あるいは他の臓器や皮膚に通じる細いトンネル)、狭窄を生じることがあります。
現在のところ完全に治癒させる治療方法はなく、異常となった免疫を抑えて症状を落ち着かせる治療をしながら病気と長く付き合っていく必要があり、定期的な検査と適切な治療で寛解の状態をできるだけ保つことが重要です。
潰瘍性大腸炎とともに、治療薬の開発により選択肢は増えたものの、依然として治療に難渋することの多い疾患の一つです。

当院では炎症性腸疾患の適切な診断や、炎症の評価、既存の治療薬に加えて、生物学的製剤などの新規治療薬についても必要性に応じて使用し、積極的に診療を行っております。

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は、早期消化器がんなどの病変を、内視鏡を用いて粘膜を薄く剥ぎ取り切除する治療法です。
特に、従来の内視鏡的粘膜切除術(EMR)では切除が難しかった、大きながんや特殊な部位のがんの切除に有効です。
当院では胃と大腸の早期がんに対してESDを行っています。手術に比べると内視鏡治療は低侵襲(体への負担が少ない、臓器が温存される)であることが大きなメリットです。一方で、治療適応の病変は早期がんの一部に限られます。
進行しているがんの場合は手術が最善の治療となることもあります。